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B2B海外ビジネスに会社案内は不要だ

課題解決提案を優先しよう

· LinkedIn,B2B

海外でのプレゼンをビジネスの現場でみていると、日系企業は必ず会社案内が大事な要素になっています。その上多くの場合、最初に入ってきます。一方海外企業は、提案からなんですね。これ非常に大きな違いです。

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もし海外で勝負したいなら、会社案内はおまけぐらいで考えた方が、確実に濃いビジネス開発が出来るでしょう。では、なぜなんでしょうか?海外営業が実際にプレゼンや提案を実施する際のヒントを述べてみました。

目次

  1. 問題解決を優先しよう
  2. ストリーテーリングってなに
  3. 日本人の名刺交換は時間が短すぎる
  4. 会社のビジョンは会社の成長保証書
  5. メンバー紹介はさらに進んだ担保
  6. 実績は必要です
  7. プレゼンに最も必要なのは練習
  8. ゴールデンサークルを思い出そう
  9. まとめとLinkedInのお勧め

 

1. 課題題解決優先しよう


海外の相手にとって、課題解決が最優先事項です。一方日本は、信用解決が最優先事項なんですね。この2者の関係はお互い絡み合っていますが、そんな絡み合いは後回しするのが、海外営業での最善策です。


勿論、海外でも「私の会社はどのくらい規模で、これだけすごいのだ」的なプレゼンもあります。がこの場合、多くは「つまらない」印象で終わってしまうのです。以前あるコンファレンスのゴールドスポンサーのプレゼンがありましたが、限られた時間をほぼ会社案内で埋めていました。「何故?Why?」とか、ストリーテーリングとか観衆とのエンゲージメントがありません。ゴールドスポンサーは大きな金額を必要しますので、この場合はリード開発はなかったのではと思います。


プレゼンは会話のきっかけを作るためという目的にフォーカスすると、相手の課題解決にどれだけ近づけるが勝負になるでしょう。

もし会社案内が最初に来ているプレゼンを、海外ビジネス開発や営業で利用されているのであれば、今すぐ改善すべきです。改善時に必要なキーワードは以下の通りです。

  1. 課題解決
  2. ストリーテーリング
  3. 会社のビジョン
  4. メンバー

です。

2. ストリーテーリングってなに?

ストリーテーリングとは、お客様がより実感してもらえる擬似成功体験を共有してもらえる、体験を元にした小話のことです。起承転結があり、お客様の記憶により残りやすい。従来から優れた営業マンはこの種の小話を持っていました。商品のスペックではなく、成功物語の方が、圧倒的に訴求効果が高いのですね。

プレゼンの冒頭にこれを入れると非常に効果的です。記載するのではなく、おしゃべりをするのです。例えばこのような感じでしょうか?

「先日、ドイツのお客様から突然電話が掛かってきました。通常はメールでやり取りをしているのですが、いきなりWahtsappコールでした。それは、生産ライン上で発生した課題解決を緊急で助けて欲しいとのことでした。」グッときますよね。

ストリーテーリングの根底は自慢話ではなく、相手の課題解決にきっとお役に立てるという気持ちの準びをしてもら、プレゼンがスムースに頭に入るようにするものです。ですので、お客様のニーズに合わせて、複数のパターンを持っていると、非常にプレゼンがスムースに行きます。ニーズの聞き取りは、会議前の事前聴取か、もしくは会議直前の短い名刺交換もしくは立ち話です。

3. 日本人の名刺交換時間は短すぎる

名刺交換は日本の変わったビジネス習慣として捉えられています。名刺の方向、両手掴み、礼、さらに順番がありますね。私はLinkedInのアプリでするようにしており、名刺を持つのを辞めました。しかし、習慣的には好きです。なぜなら、名刺交換は、初めての方とおしゃべりをするのに絶好の機会だからです。

名刺交換を会議前の作業と思ったら、もう営業的には負け戦です。相手との初めての瞬間に、部署、名前そして「よろしくお願いします」で終わりは、ないでしょう。名刺交換は索敵と一緒で、この瞬間を最大限に生かし、限られた時間の中で最高級のネタを見つけ、突破口を検討し、相手の懐に飛び込む最高のチャンスです。

そこでいくつかの典型的な質問例を公開します。名刺を読み上げて

  1. なんとお呼びしたら良いですか?ジョンさんですか、ホアンさんですか?
  2. ご専門は、なんですか?
  3. 現在のお仕事は何年目ですか?
  4. 前職は?(部門の場合もあるし、別の会社の場合もある

これらの質問を自然体ですれば良いのです。ギラギラせずに、普通に笑顔で質問すれば、相手はどんどん話してくれます。

もし会議のメンバーが事前にわかっている場合は、調査費用なしで相手を調査します。以前はこの作業は大変困難でしたが、今ではSNSを利用すると大体把握できると思います。LinkedInでは、プロフェショナルな職歴が分かるので、これは宝物情報です。会議前に繋がっておくと、初対面時の会話がスーパースムースで、場合によっては長年の友人ような雰囲気さえ作り出すことが可能になります。趣味を押さえておくのであれば、一般的なSNSを利用するのも良いでしょう。

こうして、事前情報入手、現場での情報入手、エンゲージメント(名刺交換等を利用した会話)を行い、ロジックだけではなく、感情面でのアプローチを整えて、会議を始めます。

4. 会社のビジションは会社と成長の保証証明書

日本の会社でプレゼン時に会社のビジョン等を説明することはまずないでしょう。会社説明では規模の話が中心だと思います。こちらの上手なプレゼンを見ると、ストリーテーリングと合わせて会社のビションを説明しているケースをよく見ます。ビジョンはロードマップの役目をする場合もありますね。

「この会社、どこまで信用できるのだろうか?」この質問は世界どこでも一緒です。日本ですと信用限度や与信とか呼ばれており、主に支払い能力を意味しますが、購買側からすると、実際に仕様通りの物やサービスの提供能力を意味します。こんな時にビジョンは役に立ちますね。

B2Bでは購入先を変えるのは大変な作業ですから、同じ商品でもこのビジョンで差別化ができたりします。

ビジョンは長い時間をかけて説明する必要はありませんが、会議参加者はビジョンを共有することで、発言のブレを防ぐことができます。ちなみにビジョンの共有は普段からの訓練が必要で、会議直前の打ち合わせだけでは、上手に行きません。

5. メンバー紹介はさらに一歩進んだ担保

メンバー紹介をするプレゼンは日系企業では、一部のスタートアップ系を除いてまず見たことがありません。それはこちらでも同様ですが、少しずつ変わってきていると思います。必ず主要メンバーの紹介をする必要はありませんが、会社保証の一部として準備しておくのは、大事と思います。

私の経験では産業機械のエンジニアーで、現場の機械調整の神様がおられ、どのお客様もその方を指名されていました。ですので新規プロジェクトで、その方のアサインがあると分かると、お客様も安心して発注でした。今風に表現すると、パーソナルブランドが飛び抜けていて、エンプロイーブランドがたっぷり効いていました。その当時の日本語では「本物の職人さん」と呼んでいました。

IT系のプロジェクトですと、特にメンバーの経験度はお客様が気になるとことです。コンサル系のプロジェクトですと、「ハーバードを卒業しその後MITで博士号を取得、IBMでビックデーターを5年経験し、現在は弊社でAIプロジェクトのリード」という紹介があれば、グッと印象が変わりますね。人は感情で動くので、ロジックと組み合わせて紹介できるチャンスがあれば、大いに生かすべきと思います。

6. 実績は必要です

「実績がないから苦戦している」という泣き言を言う営業は、まさかいないと思います。そもそも「実績がある」のであれば、別の生き方が出来るぐらい営業手法が変わってきますね。お客様から「実績ができたら来てね」のお言葉は「また明日おいで」ぐらいに翻訳する能力は、営業は必要です。


また実績については日本に限らず外国でも必要です。但し、海外では課題解決能力が実績より重視される傾向にあるのは、間違いないでしょう。これは会社案内より、課題解決が早くりしたいという現実を端的に表している一例です。

 

では実績のない場合はどうするのでしょうか?こんな時に役に立つのが、問題解決型のアプローチです。「あなたの課題を解決します」と「私にはこんな商品があります」では入口が大きく異なります。お客さんは、商品に興味があるのではなく、問題解決に興味があるのです。

 

こんな時に、今回紹介しているアプローチは非常に有益です。仮に断られても、何が課題なのか分かり易いですね。であれば次回は別のアプローチが可能となります。このサイクルを高めていけば、レベル500も間近ではないでしょうか?

7. プレゼンに最も必要なものは練習

プレゼンが大成功するコツは練習しかありません。プレゼンの質ではなく、喋り手の練度が全てと思います。私は以前お客様の代理でプレゼンをしたことがあります。プレゼン後お客様から「素晴らしいプレゼンでしたね」とお褒めの言葉を頂きました。私の関心は次の会議のセットと受注までの時間短縮にあって、プレゼンの質にはあまり注意を払っていませんでした。

「どのようにしたら、あのようなプレゼンができるのでしょうか?」という質問を受けてびっくりした記憶があります。なぜなら、慣れない難しいプレゼンの場合は、数多く練習するのが当たり前というメンタルでした。ですので「100回程練習しました」と回答すると、「なるほど。上手であたい前ですね」と言われました。このお客様の場合は、数回程度、もしくはぶっつけ本番が普通だったとのことです。

練習すれば、できるので、才能は必要ありません。ですので受注を目指すのであれば、練習するのみです。

8. ゴールデンサークルを思いだそう

ゴールデンサークルは、Simon Sinke氏が発表した、成功するコミュニケーションの手法です。製品紹介からではなく、なぜから始めようと提案しています。TEDxPugetSound(2009)の「なぜから始めよう ― 優れたリーダーはいかに行動を奮い起こさせるか」動画は非常に有名です。

このTEDで彼はアップルと他のPCメーカを比較して、消費者に対すメッセージの出し方の違いを説明しています。そしていかに「なぜ」から始めるアプローチが有効的なのかを説明しています。

私はビジネススクールで教壇に立っていますが、どの生徒も知っている理論であり、今後はますますこの考え方が標準になってくるでしょう。スペックを強調する方法では、購買者は購入ボタンを押さないのです。

日本語で詳しい説明がありました。Neuromagicの「人を動かすマーケティング:ゴールデンサークル理論」です。ここではパタゴニアの例も紹介しています。こちらもビジネススクールでは定番の参考例です。

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9. Linkedinのお勧め

これらの準備や実施において、非常に重要な役割を果たすのがリンクトインです。リンクトインは世界最大のビジネスSNSです。一般には就職サイトとしての認知度が高いのですが、世界のビジネスではリンクトインは標準ツールです。ですので、海外営業やビジネス開発の方には必須ツールです。

ここでは紹介されていないヒントはLinkedInで #海外営業 #海外ビジネス開発 のハッシュタグで数多く見つかります。

例えば

は人気のあるブログになっています。

10 最後に

私は、最初の勤め先の総合商社で厳しい先輩たちから色々と鍛えられました。また、日本企業と外国企業の橋渡しにおいて、悔しい思いをしてきました。その思いがバネになり、現在は欧州を中心にB2B向けのコンサルとビジネススクールで教壇に立っています。

このようにして公開しているノウハウですが、実際にお客様へのアウトプットがあって、そして受注に繋がる事があれば、とても嬉しく思います。